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2018年度 内藤記念科学振興賞
内藤記念科学振興賞に
富山大学 大学院医学薬学研究部 教授 井ノ口 馨先生
龍谷大学 農学部 特任教授 岡田 清孝先生
内藤記念科学振興財団(理事長:内藤 晴夫)は、このたび開催されました理事会において、
富山大学 大学院医学薬学研究部 教授 井ノ口 馨先生、
龍谷大学 農学部 特任教授 岡田 清孝先生の2名に「第50回(2018年度)
内藤記念科学振興賞」を贈呈することを決定いたしました。
各受賞者には、賞状、金メダルのほか、副賞1,000万円が贈られます。
贈呈式は、3月19日(火)午後3時30分より、経団連会館経団連ホールにて執り行われます。
受賞対象研究内容及びご略歴
井ノ口 馨先生
受賞対象研究内容
テーマ:『記憶の連合と保存の物理化学的メカニズムに関する研究』
私たちは脳に蓄えられているさまざまな記憶情報を関連づけていくと同時に、それぞれの記憶が混同しないメカニズムを保ちながら、一つ一つの記憶から知識や概念を形成していきます。井ノ口博士は、心理学的概念であった知識の形成などの精神活動を物理化学的実体に基づいて理解する道を世界に先駆けて切り拓きました。記憶エングラム(記憶痕跡)細胞を自在に制御する技術を用いて、2つの記憶エングラム細胞群が同時に活動しオーバーラップすることが記憶の連合メカニズムであることを明らかにするとともに、記憶の連合のみに関与し、それぞれの記憶の保存や想起には関与しない細胞集団が存在することを発見しました。さらに、他の記憶と連合しながらも個々の記憶のアイデンティティが保持されるメカニズムは、記憶間で共有されているエングラム細胞に存在する異なるシナプスの可塑性が異なる記憶を担っていることを示し、シナプスレベルでの記憶エングラムの存在を明らかにしました。これらの研究成果は、記憶研究の進歩・発展に大きな貢献をするものであり、国際的にも高い評価を得ています。
略歴
- 勤務先:
- 富山大学 大学院医学薬学研究部(医学)
〒930-0194 富山県富山市杉谷2630
- 富山大学 大学院医学薬学研究部(医学)
- 学 歴:
- 1979年
- 名古屋大学農学部農芸化学科卒業
- 1984年
- 名古屋大学大学院農学研究科博士課程修了(農学博士)
- 職 歴:
- 1985年
- 三菱化学生命科学研究所 副主任研究員
- 1991年
- 米国コロンビア大学医学部 博士研究員
- 1993年
- ニュ-ヨ-ク州立精神医学研究所 リサ-チアソシエ-ト
- 1993年
- 三菱化学生命科学研究所 主任研究員
- 2001年~2009年
- 横浜国立大学 客員教授(兼務)
- 2004年
- 三菱化学生命科学研究所 グル-プディレクタ-
- 2007年~現在
- 科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業 CREST研究代表者
- 2008年~現在
- 日本不安症学会 理事 評議員
- 2009年~現在
- 富山大学大学院医学薬学研究部(医学) 教授
- 2013年~現在
- 日本神経化学会 評議員
- 2015年~2017年
- 富山大学研究推進機構研究推進総合支援センタ- センタ-長
- 2018年~現在
- 科学研究費 特別推進研究 研究代表者
- 受賞歴:
- 2010年
- 時実利彦記念賞(日本神経科学学会)
- 2012年
- Investingator Award(Association for the Study of Neuron and Brain Diseases)
- 2013年
- 文部科学大臣表彰科学技術賞 研究部門
- 2017年度
- 第58回東レ科学技術賞(東レ科学振興会)
- 2018年度
- 第16回高峰記念第一三共賞(第一三共生命科学研究振興財団)
岡田 清孝先生
受賞対象研究内容
テーマ:『シロイヌナズナを用いた植物分子生物学の確立』
遺伝子の構造と機能の基本的な理解は、1950年代から70年代にかけて大腸菌を用いて解明されましたが、より複雑な体構造と精妙な機能を持つ動物や植物の遺伝子発現の仕組みについての研究は、育て易く世代時間が短いなど遺伝子の解析研究に合致したモデル生物種を選択することから始まりました。植物の分子生物学研究は、1980年代の半ばにシロイヌナズナを対象として開始され、緩やかな国際的研究組織が主導する形で発展しました。開始当時から岡田博士を中心とする日本の研究者の貢献は大きく、国内外の植物研究者や大学院生に研究成果と新規実験技術を示すワークショップや研究会の開催、情報交換のためのネットワークの構築、国際ゲノム解析プロジェクトの推進など、研究基盤の構築と研究者コミュニティの育成に尽力してきました。また、岡田博士の研究グループは、花・葉や根の形態形成と細胞分化、重力・光・接触などの物理的刺激応答など多様な植物機能に着目して順次それらの原因となる遺伝子を同定し発現機構を明らかにする研究を続け、この分野の発展をリードしてきました。これらの努力が、植物分子生物学を活性化し農学や薬学への展開に至る大きな起爆力につながっています。
略歴
- 勤務先:
- 龍谷大学 農学部
〒520-2194 滋賀県大津市瀬田大江町横谷1-5
- 龍谷大学 農学部
- 学 歴:
- 1971年
- 京都大学理学部卒業
- 1973年
- 京都大学大学院理学研究科修士課程修了
- 1975年
- 京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学
- 職 歴:
- 1975年
- 東京大学理学部生物化学教室 助手
- 1982年
- 文科省長期在外研究員 (米国ハーバード大学生化学教室 研究員)
- 1986年
- 岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所 助手
- 1989年
- 同 助教授
- 1995年
- 京都大学大学院理学研究科植物学教室 教授
- 2000年~2005年
- 理化学研究所植物科学研究センタ- グル-プディレクタ-(兼任)
- 2003年
- 京都大学 評議員
日本学術会議 会員 - 2007年
- 自然科学研究機構 副機構長
基礎生物学研究所 所長 - 2010年
- 自然科学研究機構 理事 副機構長
- 2012年
- 自然科学研究機構新分野創成センタ- センタ-長
- 2014年
- 龍谷大学経済学部 特任教授
- 2015年~現在
- 龍谷大学農学部 特任教授
JSTさきがけ研究「フィールド植物制御」研究総括
- 受賞歴:
- 1990年
- 日本遺伝学会奨励賞
- 1998年
- 三菱財団自然科学研究助成
- 2009年
- 日本植物学会学術賞
- 2010年
- 日本植物生理学会学会賞
- 2014年
- 日本植物学会大賞