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2019年度 内藤記念科学振興賞
内藤記念科学振興賞に
名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授 神取 秀樹 博士
内藤記念科学振興財団 (理事長: 内藤 晴夫) は、このたび開催されました理事会において、「2019年度(第51回)内藤記念科学振興賞」を名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授 神取 秀樹 博士に贈呈することを決定いたしました。
受賞者には、賞状、金メダルのほか、副賞1,000万円が贈られます。
贈呈式は、3月17日(火) 午後3時30分より日本工業倶楽部 大会堂にて執り行われます。
※ 新型コロナウイルスの影響により、贈呈式を中止することといたしました。
受賞対象研究内容及びご略歴
神取 秀樹 博士
受賞対象研究内容
テーマ:『光遺伝学ツールとしての新規ロドプシンの開発』
2005年に始まった光遺伝学(optogenetics)は、動物の行動を光で制御することを可能にしました。脳研究に革新をもたらした光遺伝学に必須のツールが、チャネルロドプシン・光駆動イオンポンプなどの微生物ロドプシンであり、神取博士は微生物ロドプシンの研究において世界をリードしています。神取博士は最先端の分光学的手法を用いて、光がどのようにロドプシンに取り込まれ、それがどのように機能へと繋がるのかというメカニズムを解明した生物物理学者ですが、得られた基礎データをもとに、新しい微生物ロドプシンの開発にも挑みました。その結果、光遺伝学ツールとして有用な新しい微生物ロドプシンを発見するとともに、機能の転換や機能の創成にも成功しました。具体的な例として、光駆動ナトリウムポンプ、内向きプロトンポンプ、酵素ロドプシン、ヘリオロドプシンの発見や、光駆動カリウムポンプ、セシウムポンプの創成を挙げることができます。これらの研究成果は、生物物理学や光遺伝学の発展に大きく貢献するものであり、国際的にも高い評価を得ています。
略歴
- 勤務先:
- 名古屋工業大学大学院工学研究科
〒466-8555 愛知県名古屋市昭和区御器所町
- 名古屋工業大学大学院工学研究科
- 学 歴:
- 1984年
- 京都大学理学部(物理学教室)卒業
- 1989年
- 京都大学大学院理学研究科(生物物理学専攻)博士課程修了
「ロドプシンにおける光異性化反応」(京都大学 理学博士)
(指導教員:吉澤 透教授)
- 職 歴:
- 1988年 4月~1990年3月
- 日本学術振興会 特別研究員
(PI:吉澤 透教授) - 1990年 4月~1990年9月
- 豊田理化学研究所 奨励研究員(分子科学研究所)
(PI:吉原 經太郎教授) - 1990年10月~1992年10月
- 分子科学研究所 IMSフェロー
(PI:吉原 經太郎教授) - 1992年11月~1993年11月
- 科学技術庁 基礎科学特別研究員(理化学研究所)
(PI:雀部 博之主任研究員)
*以上の時期は、ロドプシンなど光応答性タンパク質の超高速分光研究に従事 - 1993年12月~1998年12月
- 京都大学大学院理学研究科 助手
(PI:前田 章夫教授) - 1999年1月~2001年10月
- 京都大学大学院理学研究科 講師
(PI:七田 芳則教授)
*以上の時期は、赤外分光などを用いてロドプシンの構造と機能の研究に従事 - 2001年11月~2003年3月
- 名古屋工業大学大学院工学研究科 助教授
- 2003年4月~現在
- 名古屋工業大学大学院工学研究科 教授
- 2013年8月~現在
- 名古屋工業大学オプトバイオテクノロジー研究センター
センター長
*以上の時期は、PIとしてロドプシンなど光応答性タンパク質の分光法によるメカニズム研究、機能の発見や機能転換、機能創成の研究に従事
- 主な社会活動:
- 2003年10月~2005年3月
- 第19期学術会議化学研究連絡委員会(化研連)
物理化学専門委員会 幹事 - 2008年1月~2009年12月
- 日本生物物理学会 副会長
- 2016年9月~2018年9月
- 分子科学会 副会長
- 2017年6月~2019年6月
- 日本生物物理学会 会長
- 受賞歴:
- 2011年
- 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)
「視物質および古細菌型ロドプシンの構造と機能に関する研究」 - 2015年
- 第6回分子科学会賞
「光応答性タンパク質の分子科学研究」 - 2017年
- The 3rd Asia and Oceania Society for Photobiology (AOSP) Awards
“Spectroscopic Study of Photoreceptive Proteins” - 2019年
- 第71回日本化学会賞
「光応答性タンパク質の赤外分光研究と機能開拓」