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2023年度 内藤記念科学振興賞
内藤記念科学振興賞に
東京大学大学院理学系研究科 教授 塩見 美喜子 博士
内藤記念科学振興財団 (理事長: 内藤 晴夫) は、このたび開催しました理事会において、「2023年度(第55回)内藤記念科学振興賞」を東京大学大学院理学系研究科 教授 塩見 美喜子 博士に贈呈することを決定いたしました。
受賞者には、賞状、金メダルのほか、副賞1,000万円が贈られます。
受賞対象研究内容及びご略歴
塩見 美喜子 博士
受賞対象研究内容
テーマ:『生物恒常性維持に不可欠なRNAサイレンシング機構の分子機序解明』
RNA干渉(RNAi)は外因性small interfering RNA(siRNA)が引き金となるRNAサイレンシング(遺伝子発現制御)機構で、線虫やショウジョウバエなどの生物ではウイルス感染などから生体を守る免疫機構として機能します。創薬研究も精力的に進められ、複数の核酸医薬の上市に至っています。生体を構成する細胞は異なる内因性microRNA(miRNA)を発現し、異なる標的遺伝子を制御することによって細胞特有の機能を発揮、生体の恒常性を維持します。塩見博士らはショウジョウバエの遺伝学的・生化学的解析を駆使し、RNAi中核因子Argonaute 2(AGO2)の分子機序を解明するとともに、内因性siRNAを見出し、その生理学的意義を明らかにしました。また、ヒトmiRNAアイソフォームの機能相違を実験的に証明しました。さらには生殖組織特異的なPIWIの研究にも取り組み、PIWIがPIWI-interacting RNA(piRNA)と特異的に結合し、RNAi様反応を介して転移性因子トランスポゾンを抑制することによって生殖ゲノムを保護し妊性を維持することを見出しました。塩見博士らが樹立した卵巣由来細胞株OSCは、生殖組織特異的なpiRNA研究の適用範囲を拡大し、その研究の進展に貢献しました。RNAサイレンシング研究は生命基盤の仕組みの理解や治療戦略の創出や応用、不妊治療薬や診断薬開発などに繋がることが期待されています。
略歴
- 勤務先:
- 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻
〒113-0032 東京都文京区弥生2-11-16
- 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻
- 学 位:
- 1994 年
- 農学博士 取得 京都大学
- 2003 年
- 医学博士 取得 徳島大学
- 学 歴/職 歴:
- 1984年
- 岐阜大学農学部農芸化学科卒業
- 1988年
- 京都大学大学院農学研究科農芸化学専攻修士課程修了
- 1990年
- ペンシルバニア大学ハワードヒューズ医学研究所研究員
- 1994年
- ペンシルバニア大学ハワードヒューズ医学研究所博士研究員
- 1997年
- 日本科学技術振興機構長期海外研究員
- 1999年
- 徳島大学ゲノム機能研究センター助手
- 2000年
- 徳島大学ゲノム機能研究センター講師
- 2001年
- 徳島大学ゲノム機能研究センター助教授
- 2007年
- 科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業 CREST研究代表者
- 2008年
- 慶應義塾大学医学部准教授
- 2012年
- 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻教授
(2014年に生物科学専攻に改名) - 2019年
- 科学研究費 特別推進研究 研究代表者
- その他の公的活動:
- 2011年
- Director of the RNA Society
- 2012年
- 日本学術会議連携会員(第22期)
- 2014年
- 日本RNA学会会長(第8-9期)
- 2014年
- 日本学術会議会員(第23-24期)
- 2016年
- The 21st Annual Meeting of the RNA Society Organizer
- 2017年
- EMBO Reports Editorial Board Member
- 2018年
- 日本学術会議連携会員(第25期〜)
- 2018年
- EMBO Associate Member
- 2019年
- The EMBO Journal Editorial Board Member
- 2020年
- JST 創発的研究支援事業 プログラムオフィサー
- 2021年
- The RNA Journal Editor
- 2021年
- 第44回日本分子生物学会年会 年会長
- 受 賞 歴:
- 2008年
- 猿橋賞
- 2010年
- Anne McLaren Memorial Lecturer