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2007年度 内藤記念科学振興賞
内藤記念科学振興賞に、
学習院大学・花岡文雄教授
内藤記念科学振興財団(理事長:内藤晴夫)は、この度開催された理事会において、学習院大学理学部教授、大阪大学名誉教授 花岡文雄先生に「第39回(2007年度)内藤記念科学振興賞」を贈呈することを決定しました。
受賞テーマは「高発がん性遺伝病細胞を用いた遺伝情報維持機構の解明」です。
選考においては、数多くの優れた応募案件の中から、生体の持つ普遍的なDNA修復機構を発見し、その機構に全く新規の因子であるDNAポリメラーゼ(Polイータ)を世界で初めて発見したことが高く評価されました。
さらにこの業績がもとで、その後の癌、老化、免疫領域の研究において多大な貢献を示しました。
受賞者には、賞状、金メダルのほか、副賞500万円が贈られます。
なお、花岡文雄教授による科学講演会を2月20日(水)午後2時より、経団連会館において開催いたします。
また、贈呈式は、3月18日(火) 午後3時30分より日本工業倶楽部大会堂にて開催いたします。
受賞対象研究内容及びご経歴
花岡文雄先生
受賞対象研究内容
花岡教授のご研究は、生物が遺伝子DNAの損傷から身を守るしくみに関するものです。
遺伝子DNAの損傷は、細胞死や突然変異の原因となり、それに伴い老化や癌化、遺伝病の発症をもたらす一方、生体はDNA損傷を修復し安定性を保ち、細胞死や突然変異から身を守る維持機構を進化の過程で獲得しています。
花岡先生は、これらDNA修復・安定化機構に欠損を持ち、高発がん性や早期老化現象を呈する遺伝病を研究対象とし、DNA修復・維持機構の生化学的、分子生物学的メカニズムを明らかにしてきました。
具体的には、色素性乾皮症という高頻度に皮膚がんを発症する患者さんの細胞を用いて、ヌクレオチド除去修復機構という、生体に存在する普遍的かつ重要なDNA修復機構の解明に大きく貢献しました。
さらに、この遺伝病の研究からDNA複製時に損傷を乗り越えて複製できる因子の存在を仮定し、全く新規の因子DNAポリメラーゼ(Polイータ)を世界で初めて発見しました。
この業績を含めて花岡先生の研究成果は、NatureやScience等の雑誌に数多く掲載されております。
この業績がもとで、その後のDNAポリメラーゼの研究が飛躍的に進展し、癌、老化、免疫、生物進化の領域において多大の貢献を示しました。
経歴
- 生年月日:
- 1946年1月2日
- 学 歴:
- 1968年 3月
- 東京大学薬学部製薬化学科 卒業
- 1970年 3月
- 東京大学大学院薬学系研究科修士課程 修了
- 1973年 3月
- 東京大学大学院薬学系研究科博士課程 修了
- 学 位:
- 薬学博士(東京大学)
- 職 歴:
- 1973年 4月
- 東京大学薬学部 助手
- 1976年 4月
- 米国ウィスコンシン大学マッカードル癌研究所 リサーチアソシエート
- 1978年 10月
- 東京大学薬学部 助手(復職)
- 1980年 4月
- 東京大学薬学部 助教授
- 1989年 7月
- 理化学研究所 主任研究員
- 1995年 1月
- 大阪大学細胞生体工学センター 教授
- 2002年 4月
- 大阪大学大学院生命機能研究科 教授(配置換)
- 2007年 10月
- 学習院大学理学部化学科 教授(大阪大学 名誉教授)
- ~現在
- 受賞歴:
- 平成元年度
- 日本薬学会奨励賞
- 所属学会:
- 日本分子生物学会、日本生化学会、日本癌学会、日本薬学会、日本細胞生物学会、日本組織培養学会、日本基礎老化学会、日本環境変異原学会、日本神経科学学会、American Society for Biochemistry and Molecular Biology、American Society for Microbiology