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2021年度 内藤記念科学振興賞
内藤記念科学振興賞に
金沢大学 ナノ生命科学研究所 特任教授 安藤 敏夫 博士
内藤記念科学振興財団 (理事長: 内藤 晴夫) は、このたび開催されました理事会において、「2021年度(第53回)内藤記念科学振興賞」を金沢大学 ナノ生命科学研究所 特任教授 安藤 敏夫 博士に贈呈することを決定いたしました。
受賞者には、賞状、金メダルのほか、副賞1,000万円が贈られます。
受賞対象研究内容及びご略歴
安藤 敏夫 博士
受賞対象研究内容
テーマ:『高速原子間力顕微鏡の開発と蛋白質の機能メカニズムの解明』
蛋白質分子はほぼすべての生命活動を担うため、その働く仕組みの解明は基礎生命科学の中心的課題です。その解明に向け、蛋白質の三次元構造を原子レベルで決定する技術や、蛋白質分子に付けた光学プローブの動的振る舞い観察から蛋白質の動作を推測する一分子計測手法がこれまで利用されてきました。しかし、実際に機能動作している個々の蛋白質分子の動的な姿を直接観察することは不可能なため、仕組み解明は容易には進展しません。安藤博士は様々な要素に対する技術開発を通して高速原子間力顕微鏡(高速AFM)の実現に成功し、この不可能であった直接観察を世界で初めて可能にしました。様々な蛋白質系の高速AFM観察を進め、従来手法では知りえないメカニズムの詳細を明らかにしてきました。特にミオシンVの歩行運動の観察成功は、歩行運動を可能にするメカニズムのみならず、エネルギー変換に関する新しい原理の発見につながりました。最近では、定まった構造をもたない天然変性蛋白質(IDPs)の動的構造解析にも高速AFMが威力を発揮することを実証し、従来技術では困難なIDPsの研究に新しい道を拓きました。また、高速AFMのイメージング速度を更に向上させる技術開発にも成功しています。以上の成果は、基礎生命科学の発展に大きく貢献するものとして世界的に高く評価されています。
略歴
- 勤務先:
- 金沢大学ナノ生命科学研究所
〒920-1192 石川県金沢市角間町
- 金沢大学ナノ生命科学研究所
- 学 歴:
- 1980年3月
- 早稲田大学大学院理工学研究科物理学専攻博士課程修了
- 学 位:
- 1980年3月
- 理学博士 取得(早稲田大学)
- 職 歴:
- 1980年4月
- カリフォルニア大学サンフランシスコ校 博士研究員
- 1983年1月
- カリフォルニア大学サンフランシスコ Assistant Research Biophysicist
- 1986年4月
- 金沢大学理学部物理学科 講師
- 1992年8月
- 金沢大学理学部物理学科 助教授
- 1996年7月
- 金沢大学理学部物理学科 教授
- 2010年10月
- 金沢大学バイオAFM先端研究センター センター長
- 2016年4月
- 金沢大学バイオAFM先端研究センター 特任教授
- 2017年10月
- 金沢大学ナノ生命科学研究所 特任教授(現在に至る)
- 受賞歴:
- 2021年度
- 石川テレビ賞
- 2016年度
- 科学技術振興機構 井上春成賞
- 2014年度
- Doctor Honoris Causa from the Aix-Marseille University
- 2013年度
- 島津科学技術振興財団 島津賞
- 2013年度
- 全国発明表彰発明特別賞(発明協会会長賞)
- 2013年度
- 文部科学大臣表彰 科学技術賞
- 2012年度
- 金沢市文化賞
- 2012年度
- University of Pennsylvania NBIC Award for Research Excellence in Nanotechnology
- 2011年度
- 日本顕微鏡学会 和文誌賞
- 2010年度
- 材料科学技術振興財団 山崎貞一賞
- 2010年度
- 日本表面科学会 学会賞
- 2008年度
- 日本学術振興会 榊賞
- 2007年度
- 応用物理学会 JJAP論文賞
- 2007年度
- 産学官連携功労者表彰 日本学術会議会長賞
- 2005年度
- 北國新聞 北国文化賞
- 2004年度
- 日本学術振興会 ナノプローブテクノロジー賞
- 2003年度
- 日経BP技術賞(医療・バイオ部門)